為替相場と財産評価

相続税
この記事は約2分で読めます。

令和2年1月から12月にかけて円高ドル安が進んでいます。コロナ禍当初は一時的に急激な円高となったものの、年間を通じてみると緩やかに円高は進んできました。

ビットコインはここ数日激しく変動していますが、コロナ禍で先行きが不透明なことや、仮想通貨の国際的な規制も囁かれる中で、投資家の判断が揺れているのかもしれません。東京のマーケットや不動産には海外投資家のマネーが流れ込んできているのでしょうか。

ところで、相続税の世界では「取得の時における時価」を算出する必要があるのですが、海外に資産を保有している人は、変動する為替相場が相続税の税額や贈与税の税額に影響することを理解しておくことが大切です。

海外資産は税務申告において日本円に換算する必要があり、その方法は財産評価基本通達で次のように定められています。

「外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関が 公表する課税時期における最終の為替相場(邦貨換算を行なう場合の外国為替の売買相場のうち、いわゆる対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。また、課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。)による。
外貨建てによる債務を邦貨換算する場合には、この項の「対顧客直物電信買相場」を「対顧客直物電信売相場」と読み替えて適用することに留意する。(財産評価基本通達4-3)」

外貨を円転して日本円で評価額を算出する、いわゆる日本の税法に引き直すわけですが、預金や不動産といったプラス財産は「対顧客直物電信買相場(TTB)」、借入金などのマイナス財産は「対顧客直物電信売相場(TTS)」レートにより換算することになります。

 参考:財産評価基本通達4-3