海外送金と疑わしい取引の届出

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給付金の誤送金問題でネットカジノが話題になりました。国内のネット馬券購入とは異なり、日本では違法性の高いオンラインカジノですが、実はその資金自体も問題を内包していると考えられます。

ネットでは既知の事実として、過去には、マカオなどのカジノホテルでカジノ口座を開設し、資金を海外に留保するなど、海を越えた資産管理の方法はいくつか存在していました。

海外とお金という点で言えば、一般的には海外送金の問題が生じるのですが、日本ではここに「疑わしい取引の届出」の提出義務を求める法律の網がしっかりとかけられています。

金融庁のホームページでは、疑わしい取引の届出制度を、「金融機関等から犯罪収益に係る取引に関する情報を集めて捜査に役立てることを目的(一部抜粋)」と紹介しています。

2007年の犯罪収益移転防止法の制定後は、届出対象事業者が金融機関等に加えて、クレジットカード業者、貴金属等取引業者等にも拡大され、金融庁にあったFIU(Financial Intelligence Unit:マネーロンダリング情報を専門に収集・分析・提供する機関)も警察庁に移管されました。

疑わしい取引として金融機関等が国に報告すべき具体例も掲載されていますので、ここでは外国との取引に着目した事例の一部を紹介します。

「他国への送金にあたり、虚偽の疑いがある情報又は不明瞭な情報を提供する顧客に係る取引。特に、送金先、送金目的、送金原資等について合理的な理由があると認められない情報を提供する顧客に係る取引。」

海外送金の際、銀行窓口で不明瞭な説明をすると、銀行は疑わしい取引として国に届出をする義務が生じ、これらの情報は最終的に金融庁や警察庁に集約されることになります。