ネット上では相続税の節税対策に関する記事が溢れていますが、相続対策を行う上で最も基本的なことは、対象となる相続財産を正確に把握していることです。土地を低く評価する計算上のテクニックや高度な事業承継も、隠し子の存在や配偶者の生前資金の隠蔽が明らかになると、一転争族に陥ることになります。
相続税の節税対策は、法人税の節税対策と根本的に異なります。相続税は生身の人間を扱う税金です。申告書にはプライベートが現れます。一方で法人税は営利の追求を扱う税金です。申告書には儲けが現れます。営利法人であれば向かうベクトルは同じですが、相続人は考え方の違う人の集まりでベクトルが同じとは限りません。
税務調査を受けて遺族が知らない事実が判明すると、親族間に不平等をもたらすことがあります。
正しい税負担が相続人の関係性を健全に保つなら、納税の価値もまた変わると考えます。禍根を残さない相続税対策は各人の意向が関わるだけにより繊細さが必要です。