4月は入学や就職など環境が変わる節目のシーズンです。近年の小学校ではICT教育の推進もあってか、入学したばかりの1年生がタブレットを使用する時代になりました。
ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字と、諸外国に比べ日本語表記は複雑ですが、PCで打つことが当たり前の現代では、自筆する機会も減り、読めるけど書けない人が増えた印象です。
一方でデジタル化の普及は、書類の偽造や変造を容易にし、作成された書面が本人の意思であることをどう担保するか、という問題も生じさせました。
遺言について言えば、日本では民法の改正により、その記載の方法が変更されています。遺言作成にかかる手間を省き、高齢化社会の相続を円滑にする目的が背景にありそうです。今後は、自筆でない財産目録を添付して遺言が作成できるようになります。(民法968条)
また、法務局で遺言書を保管してもらえるため、検認も不要になります。(詳細は「遺言書の保管等に関する法律」を参照願います。)
ちなみに海外でも、日本の民法とルーツを同じくするドイツやフランスには、自筆証書遺言の考え方があります。イギリスでは遺言法で遺言の要件が詳細に定められており、そのイギリスと同じルーツを持つアメリカも、州法が絡み手続きが若干複雑な印象です。