日本の居住者なのか、それとも非居住者なのかという話は、個人の税金の話の中で非常に重要な事柄になります。居住者と非居住者では税金が課される範囲が異なるからです。居住者であれば、海外の儲けも申告しなければなりません。この問題で納税者と税務当局で争いになることは、国際課税の世界ではよくあることです。
少し専門的なことを紹介すると、所得税法は、個人を居住者と非居住者にわけ、さらに居住者を非永住者とそれ以外の者にわけています。話を簡単にするため、居住者と非居住者だけにわけて説明すると、まず非居住者は居住者ではない人と定義されます。ですから、居住者に該当するのかという判定が、非常に重要になるわけです。
そしてその居住者は、税法や通達で次のように定義されています。
居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。(所法2①三)
法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。(所基達2-1)
※生活の本拠は判例レベルの話になります。また、訴訟では滞在日数が検討されますが、租税条約の短期滞在者免税183日ルールは別の話ですので、混同しないようにしてください。
居住者の判定は非常に難しいケースがあるので、判断が困難なときは専門家に相談するのが賢明です。
最近では有名人が日本を離れ、海外から日本に向けたビジネスを展開しています。非居住者ステータスを利用した節税効果は非常に大きいでしょう。日本に住所を有して働く必要性がなければ、税金の安い外国に引っ越して、ネットを通じて仕事をすればいいと考える日本人は増えるかもしれません。
他のアジアの国々も、インフラが整い教育水準や医療水準が向上してきています。富裕層は、世界を視野に高度な教育を子供達に受けさせると聞きます。アメリカは今でも超学歴社会ですし、グローバルに戦うなら高等教育と英語は必須です。
税務会計も世界標準のルールへ順応を求められます。世界と共生する時代に日本特有の村社会の政思考は国益の足枷になりかねません。海外から優秀な若い人材を迎える政策も少しずつ進んでいますが、更なる税制面での後押しも期待したいです。