国外送金等のお尋ねと贈与税

国際課税
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ここ1か月で金の価格が上昇しています。去年の8月に高値をつけて一旦下落した後、反転して上昇してきました。パラジウムも最近は落ち着いていますが、それでもここ数年は価格が上昇傾向にあります。投機対象として金やパラジウムの相場を眺める人と異なり、価格の上昇が原材料のコスト高として影響する歯科医院の方にとっては、上昇が必ずしも良いわけではありませんが、インフレヘッジで金を保有する資産家の方には朗報でしょう。

金を相続税対策で生前贈与する人もいるかもしれません。銀行口座間での資金移動のように預金残高の増減としては現れませんが、民法では「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定めていますので、契約当事者の合意があれば贈与契約は成立します。

相続税法基本通達では、贈与による財産取得の時期を「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行のとき」としているので、贈与税の課税については、この財産の取得が民法の贈与と関わって、非常にデリケートな問題として扱われる場合が多く散見されます。

よく、日本にある親の口座から海外に住む子供の口座に国外送金したら、日本の贈与税が課税されるのかという話がありますが、結論から言えば、ケースバイケースということになるでしょう。

過去の判例では、送金手続きを了したときに受贈者の権利が確定するとした事例もあります。

国内の現金を贈与するため海外居住者に国外送金をする際、贈与が国内で成立していれば、送金前の現金は国内財産と考えられます。国内財産ですと非居住者でも贈与税の課税対象となります。

若干話がそれますが、国内財産なのか国外財産なのかという「財産の所在」の問題も、相続税や贈与税の国際課税問題では非常に重要なポイントになります。この「財産の所在」については、別の機会にまた改めて紹介します。

いずれにせよ、国外送金等から生じる課税関係は、送金の事実のみならず総合的な判断が必要ですので、専門家に相談するのが懸命です。