コーポレートインバージョン税制

国際課税
この記事は約2分で読めます。

ロンドンで開催されていたG7財務相会合で、各国が法人税の最低税率を15%以上にすることで一致したそうです。これまで国境を越えた課税の問題はなかなか協調が進んでいませんでしたが、急転直下で主要国の足並みが揃った印象です。G20で中国、インド、ブラジルが合意すれば、グローバル企業の租税回避も各国家の監視下で厳しく取り締まられるでしょう。

ところで今回は、コーポレートインバージョン税制の条文を紹介します。

ひと昔前、会社法の改正により日本の親会社と海外の軽課税国にある子会社との親子関係を逆転することで、税負担を軽減することが可能な状況が生じました。これに対応して外国法人の所得を日本に取り込むように規定したのがコーポレートインバーション税制です。租税特別措置法の所得税法及び法人税法の特例として規定されています。

第二款がコーポレートインバーション税制の条文、第一款がCFC税制(旧タックスヘイブン税制)の条文です。各条文の説明は複雑なので割愛しますが、分かり易く言えば、例えば外国法人の所得を日本の所得とみなして合算して課税するようなイメージです。

今回の合意でOECDでの話が進展しても、これらのCFC税制がすぐ不要になるとは思いませんが、国際税務の取り扱いは今後より一層日本の税制に影響を与えると思います。

【所得税法の特例:第四節の三】

居住者の外国関係会社に係る所得等の課税の特例

第一款 居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例(第四十条の四~第四十条の六)

第二款 特殊関係株主等である居住者に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(第四十条の七~第四十条の九)

【法人税法の特例:第七節の四】

内国法人の外国関係会社に係る所得等の課税の特例

第一款 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(第六十六条の六~第六十六条の九)

第二款 特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(第六十六条の九の二~第六十六条の九の五)

【法人税法の特例:第二十四節】

連結法人の外国関係会社に係る所得等の課税の特例

第一款 連結法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(第六十八条の九十~第六十八条の九十三)

第二款 特殊関係株主等である連結法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(第六十八条の九十三の二~第六十八条の九十三の五)

ちなみに、オーナー企業の相続税対策として外国法人を活用するなら、これらの外国子会社の合算税制のみならず、国際間における贈与税の課税リスクについても、国際資産税の視点で慎重に検討しなければなりません。