4月に入り新生活が始まる中で、銀行に新たな口座を開設する人もいるかもしれません。昔に比べ口座開設も、本人確認から開設理由の記載まで、煩雑な手続きが増えたように思います。
金融機関での口座開設にあたっては、特に海外との関係でFATCA(ファトカ)という制度が影響しているのですが、開設手続きの中に織り込まれていることが多いので、あまり気にせず署名している人もいると思います。殆どの人には無関係な法律ですが、一方で自分が海外に関係するなんて何故だろうと感じた人もいるでしょう。
ファトカとは外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)のことで、アメリカの雇用対策の法律の一部として成立し、米国内国歳入法に規定されている制度です。
アメリカ人(ここでは敢えて定義を省略します)が海外で脱税しないように、アメリカの国税庁(IRS)がアメリカ以外の銀行に口座の情報提供を義務付けました。協力しない場合にはアメリカの投資利益に30%の源泉徴収をするとしたため、どこもIRSに従って情報提供に協力しているはずです。
米国籍を保有している人は、日本の金融機関などで新規口座開設をした際にW-9を求められたかもしれませんが、これらの情報に日本の預金情報が付与されて、IRSに情報が提供されていくことになるでしょう。アメリカでは個人納税者識別番号(ITIN)が割り当てられるので、資産情報は一元管理されていると考えて間違いありません。
また、日本に住むアメリカ人の中には、IRSに特定外国金融資産(Form8938)の報告書を提出しなければならない人もいます。
自由の国のイメージが強いアメリカですが、税金に関しては世界中のどの国よりも執念深さを感じてしまします。
参考:国税庁HP「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」
参考:国税庁HP「FATCA実施円滑化と国際的税務コンプライアンス向上のための政府間協力枠組みに関する日米当局共同声明」