包括承継主義と管理清算主義

国際課税

イギリスのジョンソン首相がコロナ濃厚接触者と判定され自主隔離を行うことになったそうです。今日からロンドンではマスク着用などの規制が解除されるようですが、コロナ感染者は逆に拡大している状況です。

国によって対策は異なるのかもしれませんが、総じてヨーロッパの人は日本人に比べてウィルスを必要以上に恐れない気質があるように感じます。

ところで今回は、包括承継主義と管理清算主義について触れたいと思います。

包括承継主義と管理清算主義は相続の世界で用いる言葉ですが、この相続に対する考え方や手続きは国によって異なっています。

日本では民法896条で「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と規定しています。包括承継主義とは、被相続人の財産が包括的に相続人に移転することをいいます(財産と債務が相続されます)。日本のほか、ドイツやフランスなどの大陸法の国は、この考え方に基づいて相続が行われます。

これに対し管理清算主義とは、被相続人の権利義務を裁判所により選任される被相続人の人格代表者(Personal Representatives)に一旦帰属させ、管理清算終了後に残余財産を相続人に分配することをいいます(債務の相続がありません)。イギリスのほか、アメリカやシンガポールなど英米法の国は、この考え方に基づいて相続が行われますが、イギリスを例にとると、遺言がある場合は遺言執行人(Executor)が、遺言がなければ遺産管理人(Administrator)が人格代表者となり手続きを行います。

人格代表者は信託と近似の機能を有しているので、人格代表者がイギリスの不動産を売却した場合には、日本の受遺者の譲渡所得申告を検討する必要が生じます。英米法の国で遺産を換価して日本国内に資金を還流したときは、申告漏れがないよう特に注意する必要があります。