脱税と国外財産調書

国際課税
この記事は約2分で読めます。

東京銀座のビルオーナー(88歳)が、10億円余りを脱税したとして、法人税法違反の罪に問われていた事件で、最高裁が上告の棄却を決定し、懲役4年の実刑と罰金2億4千万円が確定したそうです。最高裁判事の判断ですから、4年間の服役が脱税に対する相応の報いなのでしょう。

脱税は、殺人や傷害、業務上横領や窃盗と同じ犯罪です。税金を払いたくないといって、国税局査察部に目を付けられるようなことをすると、後々後悔することになりかねません。

よく、脱税と節税の違いが話題になりますが、節税とは合法的に税金を抑えることです。そのためには、税法やその取扱いに精通する必要があります。自己流で解釈するのではなく、専門家とよく相談して節税することが重要です。

特に最近では、国際取引に関する税務に注意が必要でしょう。国税庁レポート2020では、社会的波及効果の高い事案への積極的な取組と題して、国税局査察部が「海外に不正資金を隠した国際事案で国外財産調書の不提出に係る罰則を初めて適用して告発した」と紹介しています。国税庁レポートを時系列に並べてみると、税務当局の狙いや重点事項、今後の方向性が見えてきます。

対象者は、国外財産調書の提出を軽く考えていたのでしょう。

CRSの導入を機に、税務当局には個人の海外預金情報がより集約されていくはずです。今後は、海外資産の税務マネージメントの重要性が増していくと思われます。

 参考:国税庁HP「国税庁レポート2020Ⅲ適正・公平な課税・徴収」