国際的租税回避スキームという言葉は、一昔前に比べあまり聞かれなくなったように感じます。数年前に国内某大手通信会社が、海外子会社を利用して意図的に損失を作り出し、租税回避を行ったとマスコミに報じられていましたが、それでも以前にくらべれば目立たなくなったような気がします。資産フライトが進み、節税対策が高度化したからでしょうか。
国際的租税回避と節税の分かれ目は、つまるところ経済的合理性だと考えていますが、これらの議論は何も今に始まったことではありません。イギリスでおきたラムゼー社の裁判以降、租税法の研究者がこの問題を提起してきました。
一方で、租税回避と節税の法律論なんて何処吹く風、税金なんて払いたくないと海外に現金を持ち出し、隠してしまう人がいるかもしれません。なにせ大手自動車メーカーの元社長さんが、誰にも気づかれずに出国できるのですから。
これまでに、多くの現金が日本から海外に持ち出された可能性は高いでしょう。海外が関係する税務調査は、今後ますます厳しくなると思います。